【イベントレポート】
自分の強みを活かした課題解決方法を探る、「環境」をテーマとした出前授業を中学校で実施
2019.04.03
2019年2月15日、大阪市にある昇陽中学校にアサヒグループの社員が訪問し、中学3年生を対象に出前授業を行いました。講師を務めるのは、アサヒグループの技術や研究成果を社外に伝える「技術広報」を担当する社員です。
この出前授業は、「アサヒグループの研究情報誌Kin’s(キンズ)」をご覧になった学校の先生からいただいた、「アサヒグループが開発した、循環型農業を実現する堆肥化促進剤を題材に、生徒たちが環境問題について考えるきっかけとなる授業を行ってほしい」という一本の電話からはじまった企画で、昨年に引き続き2回目の実施となりました。生徒たちが普段あまり意識しない「環境問題」を切り口に、“生徒たち自身が身の周りにある課題を見つけ出し、「自分の強み」を活かして解決アイデアを考える”という、イノベーション創出までの一連の流れを体験する、グループワーク形式の授業を行いました。
総合食品グループのアサヒが、堆肥化促進剤を開発した理由とは
まず最初に、アサヒグループの環境への取組み例として、堆肥化促進剤の開発について解説しました。
■身の回りにある課題
世界的な人口増加、気候変動などにより食糧不足の不安が高まる一方で、食糧生産量の3分の1が廃棄され、日本でもその多くは焼却処分か埋め立てにより処理されています。アサヒグループの商品に使用している原材料の多くは、水や農作物など自然の恵みによってもたらされており、豊かな地球環境を守ることは食品企業として率先して取り組むべき課題です。
■アサヒグループの強み
アサヒグループは、長年ビールや乳酸菌飲料の製造で培った、微生物の活用技術を有しています。例えば幅広い種類の微生物ライブラリーから目的の機能をもつ微生物を選出する技術や、微生物がより活発に働くように環境を整える技術などがたくさんの商品開発に活かされており、微生物の活用技術はアサヒグループの強み、と言えます。
■独自の強みを活かした課題解決
自社の微生物活用技術を活かし、アサヒグループでは環境問題に対して様々な取り組みをおこなっています。その一例として、食品製造の過程で発生する野菜くずや食べ残しなどを、従来以上に効率よく堆肥化する微生物を見出し活用しています。
生ごみのリサイクル手段のひとつに、微生物を使って堆肥にする方法がありますが、水分の多い野菜くずでは微生物がうまく働くことができず、堆肥化が難しいという課題がありました。そこで、アサヒグループが保有する微生物ライブラリーの中から様々な微生物を使って堆肥化の試験を行ったところ、「枯草菌C-3102株」を使うと水分が多い野菜くずでも堆肥化できることがわかりました。さらに、できあがった堆肥を使って野菜を栽培したところ、収量が増え、苦味や渋みの少ないおいしい野菜ができることもわかりました。
この「枯草菌C-3102株」を使うことで、これまで焼却処分されていた野菜くずを良質な堆肥にすることができるため、生ごみの廃棄量を大幅に削減するとともに、より美味しい野菜の生産につながる循環型農業を実現することができました。

環境問題を自分事として捉え、課題解決につながるアイデアを創出する

つぎはいよいよグループワークです。
アサヒグループの事例を参考に、自分の身の回りの環境課題を探り、それに対して自分たちの強みを活かして、どのように課題解決へつなげていくのか、ワークシートをもとにグループで話し合いました。普段、あまりグループワークの経験がない生徒たちでしたが、お互いに意見を出し合う中で多くの発想が生まれました。
まず、身の回りにある課題として見えてきたのは、“学校の教室や通学路などが汚れている”という状況です。次に、自分たちの強みを探し、課題解決につながるアイデアを考えます。「絵が得意だから、ポイ捨てを辞めるポスターをつくる」、「若くて元気だから、ごみをたくさん拾う」などのアイデアがでてきました。
また、自分が解決できない時はどうすればよいのだろう?と考えた結果、「市長さんにお願いにいく」といった、より多くの人を巻き込むためのアイデアも飛び出し、全員で活発な意見交換を行うことができました。
授業終了後、先生からは「環境問題や微生物への興味が高まったようだ。ワークも積極的に参加して、楽しんで学ぶことができた」とコメントをいただきました。また生徒からは、「環境問題を考えるきっかけになった、自分のできることをやっていきたい」「アサヒや微生物について少し知ることができた」といった意見がありました。
アサヒグループでは、これからも次世代を担う子どもたちの育成に貢献してまいります。
関連リンク
■研究開発領域
「枯草菌C-3102株」〈環境〉
■研究情報誌Kin’s Vol. 20
アサヒグループの微生物応用技術を農業へ 微生物のチカラを活かして、安全でおいしい「食」に貢献