アサヒグループでは、長年、酵母や乳酸菌といった微生物の力を借りながら、ビールや乳酸菌飲料「カルピス」をはじめとした様々な商品づくりを行ってきました。それらを通じて培われた技術により、早くから微生物や食品素材の機能性研究に取り組み、これまでに多くの機能性商品の開発につなげています。アサヒグループでは、これらの微生物活用技術と機能性評価技術を活かして、おいしさの追求だけでなく、健康や環境に役立つ新たな素材の探索を行っています。
素材探索~商品開発までの流れ


機能性商品の開発は、素材の探索から始まります。アサヒグループが長年蓄積してきた酵母や乳酸菌をはじめとした微生物ライブラリーだけでなく、約50年に渡る腸内フローラ研究で培った微生物の単離・培養・解析技術を活かして新たな腸内有用菌を探索、また、ビールやコーヒー、お茶などの製造副産物や植物素材など、あらゆる素材の中から優れた機能性を持つ素材を見出します。機能性評価試験、メカニズム検証、活性成分同定、安全性試験などを経て、ヒトでの効果検証試験を行うと同時に、飲料・食品・サプリメントなど、素材の特徴を活かせる商品形態を選定。商品化に向けた開発が行われます。また、量産化に向けた培養条件や製造方法の検討、工場での試作を繰り返した後、本生産および各種品質検査を経て、はじめて店頭にならびます。
アサヒグループでは、素材探索から機能性検証、量産化検討、商品開発、商品発売まで一貫して自社で行うことで、安全性を担保しながらもスピーディーな商品展開を行っています。
アサヒグループの動物実験に対する基本姿勢
アサヒグループは、食品・飲料および化粧品の分野において、法律上明確に義務付けられていない動物実験への資金拠出、動物実験の実施、動物実験の委託は行いません。
We have adopted a policy that Asahi Group will not fund, conduct or commission animal tests that are not explicitly required by law in the field of food, beverages and cosmetics.
酵母素材
古くからお酒やパン作りで活用されている酵母ですが、酵母自身にも豊富な栄養やうま味成分が詰まっています。アサヒグループでは、早くから酵母に含まれる豊富な栄養に着目し、1930年にはビール製造副産物である「ビール酵母」を使った日本初の薬用酵母剤「エビオス錠」(現在は医薬部外品として販売)の発売を開始。1966年には酵母に含まれるうまみ成分を活用した「酵母エキス」を開発し、様々な加工食品やレストランなどで天然の調味料として活用されています。また、ビール酵母の細胞壁に豊富に含まれるβ-グルカンを活用し、植物の成長や免疫力を高める農業資材への展開も広がっています。食や健康に止まらず、環境分野への応用など、酵母の可能性を広げる様々な研究を行っています。
乳酸菌素材・発酵乳素材
“おいしくて、からだによいものをつくりたい”との想いから、1919年に日本初の乳酸菌飲料として誕生した「カルピス」。その後、商品のあゆみとともに培われた乳酸菌や発酵乳活用技術を活かした機能性研究が始まりました。1970年代には「カルピス」の元となる「カルピス酸乳」に健康への効果がある可能性が見い出されたことをきっかけに、発酵乳中に含まれる機能性ペプチドや新たな機能性乳酸菌が次々と発見され、様々な商品を展開しています。さらに長年微生物制御技術を磨いてきたアサヒビール社の技術と融合することで、研究領域はますます拡大しています。
枯草菌素材
「枯草菌」は、枯れ草や土などに住む微生物で、納豆菌も枯草菌の仲間です。栄養や温度などの環境が悪い状態では芽胞を形成して休眠状態となり、増殖に適した環境になると発芽して菌体に戻る性質があります。その特性により、温度管理が不要で長期保管が可能な耐久性に優れた菌といえます。
いまでは、ヒトの健康だけでなく、家畜や農業など幅広い分野での活用が広がっています。