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酵母細胞壁の農業資材を通じた農業分野の社会的解題解決

ビール製造の副産物を利活用した循環型社会の実現

目標2 飢餓をゼロに目標12 つくる責任つかう責任目標13 気候変動に具体的な対策を
田んぼで青々とした稲穂が育っているイメージ画像

アサヒグループでは、ビールの製造で使用したビール酵母を余すことなく利活用するために、長年酵母細胞壁の機能性研究に取り組んできました。その研究の過程で酵母細胞壁は、①植物本来の免疫力向上、②根の成長を促進、という2つの効果を発揮することを見出し、農業資材を開発しました。これにより、過剰な農薬の使用を減らしつつ持続可能な食の提供を実現し、循環型社会への貢献を目指します

社会課題

食の安全安心に対する不安

アサヒがすべきこと

2050年までに世界の総人口はさらに増加し、それに伴って現在の約1.5倍の食糧が必要とされています。一方で、気候変動や土壌汚染などにより、安定して食糧を生産・確保することが難しくなり、今後大きな課題となります。自然の恵みを活用して事業活動を行うアサヒグループにとって、資源を安定的に調達することだけでなく、持続可能な食糧生産にも貢献する取り組みを進めることは、非常に重要です。

技術チャレンジ

酵母の図解イラスト、酵母細胞壁の内側に有効成分となる「β-グルカン層」がある

ビールの製造に欠かすことができないビール酵母は、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど豊富な栄養成分・うまみ成分を含んでいます。アサヒグループでは、ビール酵母の特性を活かし胃腸・栄養補給薬「エビオス錠」や、調味料の原料となる「酵母エキス」など、人々の豊かな食生活や健康に寄与する商品を生み出してきました。

一方、酵母の機能性に関する研究を進めるなかで、酵母の細胞壁にも有用な機能があることが分かってきました。酵母細胞壁に豊富に含まれる成分のひとつとして、「β-グルカン」があります。このβ-グルカンは、ワクチンのような働きをすることによって植物の免疫力を高めることが知られていました。そこで酵母細胞壁を活用して、過剰な農薬の使用を抑え、同時に気候変動などの影響を受けにくい強い農作物づくりに貢献できる農業資材の開発に着手しました。

アサヒの取り組み

「ビール酵母細胞壁」を用いた農業資材を使用したイネ(右)と未使用のイネ(左)の比較画像

酵母細胞壁は、そのままでは水に溶けないため植物に吸収させることができません。そこで、アサヒグループの独自技術を用い、酵母細胞壁を高温高圧下で分解し、植物が吸収しやすい状態に加工しました。加工後の酵母細胞壁を活用した農業資材を様々な植物に用いることで、根はりなどの成長が促進し、また免疫関連物質の産生量を高めることに成功しました。研究を進めた結果、酵母細胞壁を含む農業資材は、食品由来で安全・安心でありながら、病気に強く収穫量も多い農作物をつくることができ、かつ農薬・化学肥料の使用量を抑えることで土壌が改善され、農作物の品質が向上することが確認されました。さらに、収穫量あたりの温室効果ガスの排出量が削減されており、持続可能な農業生産に貢献できることが実証されています。日本国内ではすでに農作物や園芸作物の栽培、ゴルフ場の芝管理など幅広く活用されています。

アサヒグループの目指す未来

子どもや大人が手で若芽の生えた土をもっているイメージ画像

アサヒグループでは今後、酵母細胞壁を活用した農業資材を、特にASEANなどの開発途上国での課題解決に役立てるため、JICAと協力しながら取り組みを進めています。各国の農作物や園芸作物の品質や収量を高めるだけでなく、安全・安心かつ持続可能な農業生産を可能にし、世界中の食糧生産の課題解決に貢献していきたいと考えています。

研究員紹介

担当研究員の画像

アサヒバイオサイクル株式会社

北川 隆徳

学生時代から植物研究をしていたこともあり、現場の農家さんのニーズをきっかけに、レタス畑などで一緒に実証試験をしながら開発を進め、生産現場でとても役に立つ農業資材を生み出すことができました。この農業資材を使った農家の方々から、「良いものを作ってくれてありがとう」という喜びの声を頂けることが、何より励みになります。

農作物の免疫力を上げ、高い収穫量を維持できれば、生産者の収益を増やすことにも貢献できます。今後は国内外でより多くの人に使って頂き、人にも環境にも優しい環境保全型農業を目指す皆さんのお役に立ちたいと思っています。

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