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炭酸飲料はいつから飲まれている?歴史やつくり方をご紹介!

2019.03.18

暑い時期や気分転換を図りたい時、すっきり爽快感を味わいたいときなどに「炭酸飲料を飲みたい!」と思うことはありませんか?

私たちの身近な飲み物の一つである炭酸飲料。ペットボトルやビン、缶など、いろいろな容器に入って売られていますね。これらはいったん開栓すると、だんだん炭酸が抜けてしまいます。炭酸をどう入れているのかなど不思議に思ったことはありませんか?そもそも炭酸飲料を人間はどの位前から飲んでいるのでしょうか?

本記事では「炭酸飲料はいつから飲まれているか」や「炭酸飲料とは何を指しているか(定義)」、「炭酸飲料のつくり方」などについてご紹介いたします。

炭酸飲料はいつから飲まれている?

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炭酸ガスを含む飲料は、今から2000年以上前、紀元前から飲まれていたそうです。古代ローマ時代に天然の鉱泉や温泉を飲用したことがはじまりだと言われており、当時は飲むにあたりつぼに詰めて運搬していました。

絶世の美女として有名なクレオパトラ(紀元前69年~紀元前30年)も炭酸飲料を飲んでいたという逸話があります。この炭酸飲料は真珠をぶどう酒に入れて溶かし、真珠の主成分である炭酸カルシウムが酸に溶けて発生する炭酸ガスを含むもので、現在のシャンペンに似た飲み物であったのではと想像されています。クレオパトラは美容と不老長寿の秘薬として飲んでいたと伝えられておりますが、真珠を用いるとは、さすが美女に相応しい逸話と言えるでしょう。

そこから1800年ほど時代を現代に進めましょう。1772年になり、イギリスで炭酸飲料の製造方法が発明されました。自然哲学、教育、化学、神学と幅広い分野の研究者であるジョセフ・プリストリーが、石灰石と硫酸との反応により炭酸ガスを発生させ、そのガスを水に溶かす方法を発明し、論文を発表しています。 

炭酸飲料が商業的に生産されたのはそれから4年後、1776年のスウェーデンでのこと。当初は陶磁器製のびんに詰められていましたが、次第にガラスびんに代わっていきました。
そして1808年にアメリカで炭酸飲料の販売が始まりました。タウンゼント・スピークスマンという薬剤師が、炭酸水を果汁で味付けしたものを売り始め、これが現在の炭酸飲料のはじまりだと言われています。

日本に初めて炭酸飲料が伝えられたのは江戸時代の終わりです。1853年、ペリーが浦賀に来航した時、船内に積んでいた飲み物の一つ、「炭酸レモネード」を江戸幕府の役人に飲ませた、と言われています。ちなみに炭酸飲料のラムネは「レモネード」がなまったものといわれています。

日本で炭酸飲料が初めてつくられたのはペリー来航から15年後の1868年。横浜居留地で「ノース・アンド・レー商会」が、レモネードやジンジャーエールなどの炭酸飲料の製造を始めました。1884年には、兵庫県多田村(タダムラ)平野からわき出た炭酸水を飲み物とした「平野水」の販売が始まりました。1907年には「三ツ矢」印の「平野シャンペンサイダー」が発売されています。

このように、炭酸飲料は2000年以上も前から飲まれていることや、日本では150年ほど前から炭酸飲料製造の歴史があることなどをご紹介しました。※1 まだ炭酸飲料がなじみがない時代に、初めて口にした人はどう感じたのでしょうか?びっくりした人や感動した人などさまざまだったかもしれませんね。

炭酸飲料とは何を指しているの?

炭酸飲料とは、炭酸ガスを含んでいる清涼飲料です。
日本農林規格(JAS)※2 によると、炭酸飲料の定義は次に掲げる液体飲料を指しています。
1)飲用適の水に二酸化炭素を圧入したもの
2)1)に甘味料や酸味料、またはフレーバリング等を混ぜたもの

2)の「フレーバリング」とは、炭酸飲料に香りまたは味をつけるために使用する、以下の4つを指しています。

1)香料
2)果汁または果実ピューレ―
3)植物の種実、根や茎、木皮、葉、花等やこれらからの抽出物
4)乳または乳製品

1)や2)は想像がつくけど3)の種実や根とは?と疑問に思われた方がいるかもしれませんね。ですが「ジンジャーエール(しょうがで味と香りをつけたもの)」といわれると、すぐ分かるのではないでしょうか。この他にも「ガラナ(植物のガラナの種実を使用)」という炭酸飲料もあります。そして炭酸飲料というからには、一定量の炭酸ガスが入っていることが必須です。この炭酸ガス量は、製品により基準が決められています。

ちなみに「ラムネ」と「サイダー」という言葉をきくと思います。ともに炭酸飲料ですが、栓の仕方によって呼び名が変わります。「ラムネ」はラムネ玉(ビー玉)で栓をしているものを、「サイダー」は王冠やスクリューキャップを使用しているものを指しています。※1

炭酸飲料のつくり方

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スーパーマーケットやコンビニエンスストア、自動販売機などで身近に見られる炭酸飲料。では炭酸飲料はどのようにつくられているのでしょうか?主なつくり方は2通りの方法があります。一つは調合シロップと炭酸水を容器に詰めた後に混ぜ合わせる「ポストミックス法」、もう一つは調合した後に炭酸を注入して容器に充填する「プレミックス法」です。それぞれの製法を見ていきましょう。

1.ポストミックス法
調合シロップと炭酸水を容器に充填して栓をした後で、調合シロップと炭酸水をミックスする方法です。
1)一定量の調合シロップ(糖類や酸味料、香料などを加えたもの。製品に対して数倍に濃縮・調整している)を容器に充填する。次に炭酸水を一定量まで充填する。
2)容器に栓をする(ビン詰めの場合、王冠(ビンのフタ)を打栓する)。
3)容器内上層の炭酸水と下層のシロップを混ぜ合わせる。

2.プレミックス法
先に炭酸以外の原料を混ぜ調合液を作り、その後調合液に炭酸ガスを加えてから容器に詰める方法です。ポストミックス法と違い炭酸飲料の大量生産が可能です。
1)調合シロップと水を混ぜて調合液を作る。
2)炭酸ガスを溶けやすくするために調合液を冷やし、炭酸ガスを圧入する。
3)容器に充填する。ビンならば王冠を打栓、缶ならば缶蓋を巻き締めて密栓・密封する。

このように炭酸飲料は主に2つのつくり方があります。ちなみにポストミックス法は主に中小の飲料メーカーで採用されており、プレミックス法は大手の飲料メーカーで採用されています。

おいしい炭酸飲料をつくるためにアサヒが取り組んでいること

おいしい炭酸飲料をお客さまに飲んでいただきたい、と飲料メーカーは日々商品開発に取り組んでいます。ここでアサヒグループの研究から生まれたおいしさアップの技術を少しご紹介します。

炭酸飲料の「おいしさ」を引き出す「フルーツクオリティ製法」

果汁を使用した炭酸飲料は、充填し栓をした後で加熱処理を行う必要があります。このため炭酸飲料中の香気成分のうち、熱に弱いフレッシュな香りが減少してしまいます。しかしアサヒグループはこの問題を解決する「フルーツクオリティ製法」を開発、熱をかける処理を少なくすることが可能となり、フレッシュな香りが保たれるようになりました。
「フルーツクオリティ製法」は、殺菌した中身(液体)および容器(ボトル・キャップ)を、空気中のちりや微生物のない、衛生的に管理された環境で充填しています。これにより品質を守りつつ充填後の加熱処理工程を省くことを実現しています。
充填後の加熱処理工程を省略することは、環境負荷の低減にもつながります。加熱処理時の熱量削減だけでなく、使うペットボトルは厚みの薄い軽量タイプの使用が可能になるので、樹脂の使用量を削減できます。このように、よりおいしくより環境にやさしい飲料をお客様に届けています。

まとめ

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炭酸飲料の歴史やつくり方、よりおいしくするアサヒの製法をご紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか?
気分転換したいとき、すっきりした気持ちになりたいとき、口内をさっぱりさせたいときなど炭酸飲料は合いますね。ぜひ皆様の生活に炭酸飲料を取り入れていってくださいね。

※1 一般社団法人全国清涼飲料連合会HP
http://www.j-sda.or.jp/
※2 日本農林規格(JAS)
農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律。農・林・水・畜産物およびその加工品の品質保証の規格。 農林水産省 JASについて
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/