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R&Dニュース

【受賞レポート】
令和2年春の褒章「紫綬褒章」をアサヒクオリティーアンドイノベーションズ(株)の鈴木康司フェローが受章!

2020.05.12

令和2年春の褒章「紫綬褒章」をアサヒクオリティーアンドイノベーションズ(株)の鈴木康司フェローが受章!

 2020年4月29日、内閣府より令和2年春の褒章が発令され、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ(株)の鈴木康司フェローが発明改良の功績を認められ、「紫綬褒章※」を受章しました。

 1994年から取り組んできた、「生ビール製造における微生物品質保証技術の開発」により、世界のビール産業における微生物検査技術の進化に大きく貢献し、また、新鮮なままの香味を楽しめる生ビールの安定製造に寄与したことが評価され、受章に至りました。


世界に先駆けて生ビールの品質を守る技術開発に着手

 生ビールを安定的に製造する技術は、世界に先駆けて日本で確立され、その礎となる品質検査技術をアサヒグループが開発しました。加熱処理をしないため、新鮮な香味を楽しめることが生ビールの最大の特長ですが、熱殺菌をしなくても高い品質を保つためには、ビールを変敗させる微生物(ビール混濁性細菌)を製造環境から撲滅する必要がありました。
1980年代後半から1990年代にかけて生ビールの国内市場規模が拡大し、品質保証技術の確立が求められるなか、アサヒグループでは1994年より本格的に微生物品質保証技術の開発に着手しました。

世界で活用される検査培地と遺伝子検査法を確立

 ビール混濁性細菌は、通常の品質検査培地では検出しにくいことが最大の課題でした。今回受章した研究では、ビール混濁性細菌の生化学的・遺伝学的特性の解明を進めることで、ビール混濁性細菌を漏れなく検出可能な検査培地(ABD培地)の開発に成功しました。また、未知の細菌がビールの品質に悪影響をもたらすか否かを、ホップ耐性遺伝子を指標とする遺伝子マーカーで判定する検査法を世界で初めて確立しました。
これらの技術は広く公知化され、検査キットメーカーにも採用され市販されるなど、国内外におけるビール製造現場で品質保証に活用されています。また国内での生ビール市場の発展はもちろん、国産生ビールの輸出拡大にも大きく貢献しています。

 アサヒグル―プでは引き続き、世界のビール業界の発展に貢献するとともに、ビール以外の飲料や食品分野への応用を目指し、研究開発を続けてまいります。

 

※「紫綬褒章」は、科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた個人に対して与えられる褒章です。


〈受章者のコメント〉

アサヒクオリティーアンドイノベーションズ(株)フェロー  鈴木 康司

紫綬褒章受章、鈴木フェロー

 この度は、光栄にも栄えある紫綬褒章を頂くことができました。受章の対象となった研究成果は、アサヒビール株式会社酒類技術研究所ならびに製品保証センターに在籍していた頃に得られたもので、ご指導いただきました諸先輩の皆様、研究開発活動をともにした同僚の皆様に深く感謝いたします。
生ビールは低温で長期発酵・熟成して出来上がった繊細で爽快な味わいのビールを、熱殺菌処理を一切することなく製品化することが特長です。広大なビール工場そして長期間にわたる製造工程から混濁性菌を撲滅しビールの香味品質を守り抜かなければならないという点で、一般的な清涼飲料の微生物管理とは異なる難しさがあります。生ビールの微生物品質事故ゼロという実績は、漏れのない微生物検査の開発とそれらを活用した生産現場での弛まない日々の衛生管理改善活動によって実現しています。これらの活動に従事する全ての皆様に改めて感謝したいと思います。お客様には、世界に誇れる製造技術で出来上がった繊細で美味しい日本の生ビールを楽しんで頂ければ幸いです。