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挑戦する研究者たち挑戦する研究者たち

世界のお客様に「うまい」を届け、子どもたちに「豊かな社会」を残したい。

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アサヒビール株式会社
酒類技術研究所 楠 慧三

学生時代は、分子生物学で微生物の発酵や腐敗の仕組みについて学びました。その頃から、発酵の仕組みを応用し、食糧不足などの社会的な課題解決につながる研究をしたいと思っていました。現在は主にビールの発酵制御に関する研究を行っています。

酵母の働き盛りを正確に見極める技術、「うまい」を極める為に

楠 慧三

ビールは水と麦からつくられる麦汁にホップを加えた後、酵母で発酵させます。酵母は「アルコール」や「炭酸ガス」だけでなく、その他様々な「香味成分」を生成します。私にとって酵母とは「ビールのうまさを創り出す宝」で、その酵母の秘めている可能性をいかに引き出すか。それは私たち研究者と現場の技術者の腕次第と考えています。
ビール製造に用いる酵母も生き物なので、若い酵母、働き盛りの酵母、お年寄りの酵母といった感じに成長・成熟していきます。そして働き盛りの酵母でつくるビールが「うまい」こともわかっています。そのため、製造現場では酵母の成長・成熟状況を見極めることが、おいしさを左右する重要な仕事の一つです。現在その見極めは、熟練した現場の技術者達に支えられています。
私は、アサヒビールのうまさをもっと多くの世界の人々にも楽しんで欲しいと思っています。お客様を感動させる味を高い品質で提供するためには、熟練した技術者のノウハウに代わる「正確に見極める技術」が必要になります。発酵の過程には多くの要素があり、研究所と工場ラインでは発酵タンクの大きさや製造条件などにより結果が異なることもあります。それらの課題を一つ一つ現場の技術者と共に検討することで酵母の働き盛りを正確に見極め、製造できる技術をつくり出し、いつでも・どこでも・安定して「うまい」を届ける。それが私のチャレンジです。

子ども世代へ「豊かな社会」を。酵母の技術を応用して可能にしていきたい。

楠 慧三

2016年、日本の大隅良典教授は、酵母を用いたオートファジーの仕組みの解明によってノーベル医学・生理学賞を受賞されましたが、酵母はまだまだ未知な部分が多いです。そのため、世界の研究にアンテナを張って、常に新しい情報を入手し、学会では研究者の話を聞くようにしています。
私は学生時代から自身が学んだ微生物技術を応用して社会問題を解決し、子どもたちの世代が安心して暮らせる世の中を作りたいと思っていました。研究者たちとの交流の中で感じることは、異業種の人々も社会課題解決の「イノベーションの種」を求めているということです。彼等が持っている技術と私たちの酵母に関する技術を掛け合わせる事により、環境や食糧、エネルギー問題などの社会的な課題を解決できると考えています。
私の夢は、それらの技術開発を進めて持続可能な社会を実現し、子どもたちの世代に「豊かな社会」を残していくことです。
 (2016年10月13日取材)