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研究レポート

Report24

ビールづくりだけじゃない!ビール酵母が地球環境を救う!?

ビールづくりだけじゃない!ビール酵母が地球環境を救う!?
ビールづくりに欠かせない小さな生き物“ビール酵母”。発酵の過程で、アルコールや炭酸ガスをつくりだしてくれます。ビール酵母の最先端研究を行っているアサヒグループでは、ビールのおいしさや品質を追求するとともに、ビールづくりの任務を終えたビール酵母を、人や家畜の健康に、そして地球環境の保全に向けて有効活用する事業を推進しています。
そのひとつである“ビール酵母細胞壁”を活用した農業資材(肥料)開発の取り組みは、地球温暖化防止や循環型社会の実現に貢献する取り組みとして評価され、「第25回地球環境大賞」(2016年)にて「農林水産大臣賞」を受賞しました。
アサヒグループが目指す持続可能な社会の実現に向けた取り組みをご紹介します。

1.ビール酵母ってなに?

 ビールの主な原料は、水、麦芽(大麦を発芽させたもの)、ホップです。水と麦芽からつくられる麦汁(ビールの素)にホップを加えた後、ビール酵母を加えて発酵させます。麦汁に含まれるたくさんの栄養分をもとに、アルコールや炭酸ガスをつくりだしてくれるビール酵母はビールづくりに欠かせません。役目を終えたビール酵母は、麦汁の栄養分をたっぷりと吸収しています。

ビールができるまで

2.副産物のビール酵母から広がる様々な事業 ~独自技術による農業資材(肥料)への展開~

 ビールづくりの任務を終えて取り除かれたビール酵母には、私たちの健康に役立つ栄養分がたくさん含まれています。そこで、ビール酵母を錠剤化して胃腸の不調や栄養補給に役立つ健康食品にしたり、飼料に混ぜて家畜の健康に役立てています。また、ビール酵母にはうま味成分も多く含まれるので、ビール酵母から抽出したエキスを調味料としても活用しています。
 さらに、エキスを抽出した後の細胞壁が、トマト、レタスなどの野菜やイネなど、様々な“植物”によい影響を与えることを明らかにし、独自技術による改良を重ね、植物の成長と免疫力の向上に役立つ農業資材(肥料)の開発に成功しました。

副産物のビール酵母の活用

3.ビール酵母を活用した農業資材(肥料)で環境保全型農業に貢献

 ビール酵母細胞壁からつくられる農業資材(肥料)は、農薬や化学肥料とは異なり、植物が本来もっている力を引き出すことで成長を促し、病害虫に対する免疫力を高めてくれます。この農業資材(肥料)を活用することで、気象や土壌などの悪環境下での安定した農作物の生産を可能にしたり、農薬や化学肥料の使用回数を削減し、安心安全かつ持続可能な農作物の生産が可能になると考えています。また、副産物であるビール酵母細胞壁を活用した農業資材(肥料)を用いた稲作は、従来の方法と比べ、収穫量あたりの温室効果ガス排出量の削減が期待できることから、地球温暖化防止に貢献できると考えています。

植物の成長・免疫力アップ!
まとめ

アサヒグループでは、長年の研究から得られた知見を活かして、副産物のビール酵母を健康領域や調味料事業などで活用してきました。さらに、ビール酵母細胞壁を用いた農業資材(肥料)を、日本のみならず東南アジアをはじめとした世界規模で展開することで、人や環境にやさしい農業の推進に貢献してまいります。