Report25
夏の免疫対策 -「ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株」が夏の暑さによる免疫力低下を抑える可能性を確認-

※本研究成果は第70回日本栄養・食糧学会大会(2016年5月13日~15日)で発表した内容です。
インフルエンザウィルスのように冬の乾燥した環境を好むウィルスがいる一方で、夏には多湿を好むウィルス(アデノウィルスやエンテロウィルスなど)がいます。これらに感染することで下痢や嘔吐など胃腸症状や喉の炎症、発熱などの夏風邪の症状が引き起こされます。夏の暑さで免疫力が低下しやすくなっているため、ウィルスをなかなか排除できず、回復に時間がかかるのも夏風邪の特徴です。
長引く夏風邪を予防するためには、常日頃から自分自身の免疫力を高めておくことがとても大切です。
暑熱ストレス(夏の暑さにより感じるストレス)は、免疫細胞の一つであるナチュラルキラー(NK)細胞の活性を低下させることが報告されています。
そこで、この暑熱ストレスによるNK細胞の活性の低下に対して「ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株」が与える影響を調べました。
*NK細胞とは
ウィルスに感染した細胞を破壊し、体内でウィルスが増殖・拡散するのを阻止する働きがある免疫細胞です。
マウスを3つのグループに分けました(下図参照)。グループ②と③は室温35℃で3日間飼育(高温飼育)、さらに、グループ③は、高温飼育の前2週間と高温飼育中の計17日間、「ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株」を通常のエサに加えて毎日摂取させました。試験終了後、NK細胞の活性度を調べました。
グループ②はグループ①と比べて、NK細胞活性が低下しました。一方、グループ③は、NK細胞活性の低下が抑えられました。
このことから、「ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株」を継続的に摂取することで、夏の暑さによる免疫力低下が抑えられる可能性があることがわかりました。
「ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株」は、アレルギー症状の改善やインフルエンザウィルスへの感染防御が確認されていますが、継続的に摂取することで夏の暑さによる免疫力の低下が抑えられる可能性があることがわかりました。
アサヒグループでは今後も、乳酸菌や酵母をはじめとした微生物の力を活用して、健康で豊かな社会の実現に貢献する研究を推進してまいります。