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    ありとあらゆる瞬間にミンティアを。

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リフレッシュ!リセット!リラックス!
ありとあらゆる瞬間にミンティアを。

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アサヒグループ食品株式会社
研究開発本部 商品開発一部
井上 花菜

大学時代、ボート部で厳しい練習をこなす中で、食事が疲労回復にもたらす作用を実感した。その経験から「人の健康に大きく影響する『食』に関わる仕事がしたい」と思ったという井上。2013年、アサヒフードアンドヘルスケア株式会社(現アサヒグループ食品株式会社)に入社し、キャンディやグミなどの商品開発に携わったのち、現在は錠菓市場売上No.1、タブレット菓子「ミンティア」シリーズの担当者として、人々の「気持ちを支える」食品の開発を目指す。そんな井上に、仕事の醍醐味や苦労について語ってもらった。

―最初に、現在の仕事内容について教えてください。

「ミンティア」など、主にタブレット菓子(錠剤型固形菓子)の商品開発を行っています。食品マーケティング部とともに協議したコンセプトや、味のイメージをもとに、おいしくて安全な商品をつくり上げることが私のミッションです。

―マーケティング部からは新商品の企画について、どのような要望が出されるのですか。

例えばフルーツ系商品の場合には、「リアルな果実感があってジューシー」など、かなり具体的な表現で伝えられるケースが多いです。一方で、イメージからコンセプトが決まった大粒タイプの「ミンティアブリーズ」シリーズでは、「黄色っぽいイメージの味で作ってください」というような抽象的な要望が届く場合もありました。そんなときには、レモンやグレープフルーツといった柑橘系の果物を食べるシーンを想像したり、香料メーカーからの意見・提案を受けて、「黄色っぽい」イメージにふさわしい味に落とし込むようにしています。

―その後、どのようなプロセスを経て商品を作り上げているのですか。

目指す味を実現するための原料を探索し、研究所で試作を重ね、厳しく品質をチェックしたうえで生産工場でも研究所と同等の味・品質のものができるよう実用化試験を行って処方を確定します。また、パッケージ裏面の表示作成や栄養成分分析、本生産に向けての準備など、仕事内容は多岐にわたります。基本的に、1人の社員が1つの商品を、責任をもって担当します。

―開発する中で、大変だったことはありましたか。

強く印象に残っているのは、「ミンティア」シリーズの主力商品「コールドスマッシュ」の原料切り替えです。「ミンティア」をつくる上でとても重要な原料に「メントール」があります。メントールは植物の和種ハッカから抽出してできるハッカオイルを精製して作るのですが、「コールドスマッシュ」の原料となるハッカの栽培が終了になることがわかりました。そのため、急遽、代替原料を探さなければならなくなったのです。「コールドスマッシュ」は「ミンティア」シリーズの「顔」というべき商品ですから、味や香りが変わってコンセプトから外れることはもちろん、欠品させることも許されません。限られた時間の中で、どれだけ現行品に近い原料が見つけられるのか。当時は焦りと不安でいっぱいでした。

―メントールが変わると、具体的にどのような影響があるのでしょうか。

メントールは、原料などによって、清涼感や風味が微妙に異なるため、組み合わせによりさまざまな特徴をつくり出すことができます。「コールドスマッシュ」で使用していたメントールは、「突き抜けるような強力な冷涼感と、心地よい鼻抜け感」という際立った特徴を持つものでした。
「ミンティア」の歴史を築いてきた「コールドスマッシュ」の味を守り抜きたい一心で、ハッカオイルの選定から製造方法まで、原料メーカーとともに試行錯誤を繰り返しましたが、別の原料で従来と全く同じ味や香りを再現するのは至難の業でした。

―代替となる原料をみつけることが、それほど大変なものだとは思ってもみませんでした。やはり多くのファンをもつ主力商品だからこその難しさもあったのでしょうね。

そうですね。原料選定の際には、直接お客様の口に入る食品を扱っているため「自分が品質保証者である」という意識と責任感をもって選定するように心掛けていました。代替原料の検討をスタートして5か月ぐらい経った頃、マーケティング部の担当者と私が、ともに「よし、これでいける!」と感じる段階があり、「コールドスマッシュ」のヘビーユーザーの方々を集めてグループインタビューを行いました。新処方の「コールドスマッシュ」を食べてもらい、従来品と比較してどう感じるかを聞いたんです。結果は、私たちの期待に反して散々な内容で、「食べた瞬間に感じる鼻抜け感がない」「途中で味が変わってしまう」などの厳しいご意見がほとんど…。もちろんショックでしたが、その反面、ユーザーのお客様が強いこだわりを持って「ミンティア」を選んでくださっていることが感じられ、うれしかったです。
その後、「ミンティア」を手に取ってくださるお客様のためにももう一度心を奮い立たせ処方検討を行いました。最終的に、1年以上にわたって「コールドスマッシュ」の価値ともいえる「爽快感と鼻抜け感」を追求することで、原料の切り替えに漕ぎ着きました。現在販売されている「コールドスマッシュ」はこれまで通りヘビーユーザーの方々を含む多くのお客様に支持していただいております。

―原料の産地や工場などの「現場」を訪れることもあるそうですね。

はい。2016年と18年の2回、アメリカのミント畑を訪問しました。私たちが「ミント」と呼んでいるものは、「和種ハッカ」「ペパーミント系」「スペアミント系」の3種類に大別されますが、そのうちペパーミントとスペアミントはアメリカが最大の産地なのです。現地では、広大な畑からコンバインでミントを刈り取る様子や、蒸溜しているところを実際に見学しました。研究所で日々使用している原料が、このように広大で美しい畑から届いていると思うと、非常に感慨深かったですね。2016年と18年では別の産地を訪れたのですが、気候や土壌によって収穫されるミントの風味が大きく異なることに、新鮮さと驚きを感じました。
また、生産工場でも研究所と同等の味・品質のものを製造できるようにするため、試作目的で訪れることがほとんどなのですが、機械や設備の仕組みをじっくり観察して考察できる研修の機会を与えてもらい、生産品質を高めるために配慮すべき点を改めて把握することができました。

―現場視察をしたあとで仕事に何か変化はありましたか。

タブレット菓子は、粉末状の原料に圧力をかけて固めたものであり、一粒の大きさも小さいため、処方を検討するにあたっては自由度が限られていることも事実です。その制約の中で、各原料の特徴を十分に把握し、それぞれの味わいを最大限に活かす処方を考えること。さらには、従来とは違った形で新規性を出せる商品を開発できないか、毎回新たな挑戦を行うことを心掛けるようになりました。

―井上さんが感じる「ミンティア」の魅力とは何でしょうか。

口にしてもらった人の気分までも変えられる点が一番の魅力だと感じています。実は私、刺激の強いミント菓子が苦手でした。しかし、開発に携わるようになり、ユーザーの声を聞いてみると、「落ち込んだ気持ちを元気にしたい」という人もいれば、「ここ一番という場面で集中力を高めたい」という人もいます。単に刺激を得るためでなく、気分までも変えてしまう「ミンティア」の可能性を肌で感じることが出来ました。だからこそ、より多くの生活シーンに対応できる商品バリエーションを広げられたらと考えています。

―それが、新たなミント菓子ファンの開拓にもつながるのですね。

そうですね。現在、アサヒグループ食品では約20種類にもおよぶミンティアの商品ラインアップがあります。今後もフルーツ味やソーダ味など、「ミンティア」ブランドをさらに充実させることで、ミント菓子の魅力に気づいていない人にとっての「出会いのきっかけ」を増やしていければと考えています。以前の私のようにミント菓子が苦手な方も、きっと自分の好みや気分に合う「ミンティア」が見つかるはずです。

―今後の目標として、どんなことにチャレンジしたいですか。

リフレッシュ!リセット!リラックス!すべての人の、あらゆる瞬間に寄り添うことのできるミンティアを生み出すことで、もっともっと多くの人にミンティアを愛してもらいたいです。(2018104日取材)