
認知機能とは
日々のちょっとした物忘れが増えた。仕事中すぐに集中力が切れてしまう。記憶力や集中力に関する悩みは、加齢とともに認知機能のピークが過ぎると、徐々に増えてくるもの。「認知機能」とは、記憶だけでなく、判断や思考、理解といった、社会生活を営む上で必要となる全般的な知的能力のことを示しています。人生100年と言われる現代でより長く豊かな生活を送るために、いかに認知機能を低下させずに保つかは、私たちにとって切実な問題です。
まずはあなたの記憶力をチェックしてみよう!
認知機能の低下で一番気になる物忘れ。まずは「記憶力」を簡単にチェックしてみましょう
- 今から覚えるものをすぐに思い出せるかチャレンジしてみよう
次の単語10個を1分間よく見てください。
ヨーグルト 黒板 空気 チャンス 人間 コンパス 東京 脳 レンジ 金融
目を閉じていくつ思い出せるか試してみましょう。いくつ覚えていましたか? - 記憶を掘り出せるかチャレンジしてみよう
過去1週間分の夕食を思い出してみてください。何日前まで思い出せましたか?
どのくらい思い出すことができましたか?昔よりも記憶力が低下したと感じた方もいたかもしれません。脳は新しく入ってきた情報を、一時的に保存(短期記憶)した後で、寝ている間に整理し定着(長期記憶)する仕組みを持っています。そのため、しっかり記憶するためには睡眠が必要なのです。
認知機能を高めるために
食品でアタマを活性化させる
記憶力をはじめ、認知機能を向上させる効果があるのは、睡眠だけではありません。これまでに多くの研究者が認知機能の低下を防ぐ研究に取り組んだ結果、適度な運動や、音読・計算といったいわゆる脳トレなど、いくつかの生活習慣がアタマを活性化させることが分かってきました。さらに近年、「食べる」ことで認知機能に効果をもたらす食品成分も見出され、生活に取り入れられるようになってきています。

アサヒグループでは、「食を通じて人々の健康に貢献」するため、長年機能性素材の研究に取り組んでいます。その中で、乳酸菌がつくりだす発酵乳から見出した「ラクトノナデカペプチド」に認知機能を高める効果があることを発見しました。

「ラクトノナデカペプチド」
乳酸菌がつくり出した発酵乳の中から見つかった、認知機能を高める効果をもつ機能性素材。アミノ酸が19個つながったペプチドです。乳由来の意味を表す「ラクト」と、ラテン語で19を表す「ノナデカ」から、「ラクトノナデカペプチド」と名付けられました。

ほんとに、ホント?
ラクトノナデカペプチドの認知機能への効果とは
物忘れや情報処理能力の低下を自覚、もしくは身近な人から指摘された方を対象に、幅広い年代で「ラクトノナデカペプチド」を実際に飲んでもらいました。4つの研究を通じてわかってきた機能とは?その効果、ほんとに、ホント?データから紐解きます。
研究ヒストリー
研究員が語る!「ラクトノナデカペプチド」研究裏話
今回ご紹介した「ラクトノナデカペプチド」、実は1970年代に当時のカルピス社で、独自の発酵乳のチカラに着目したことが研究のはじまりでした。そして今日のように脳機能に注目があつまる以前から、認知機能への効果を検証してきたのです。
研究年表
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1970年代発酵乳の健康機能に関する研究を開始
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1990年代発酵乳の記憶・学習機能に対する効果確認
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2008年社会的な脳機能領域のニーズの高まりを受け、研究開始
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2009年・「カルピス酸乳」の認知機能改善効果確認
・有効成分として 「ラクトノナデカペプチド」を発見 -
2010年「ラクトノナデカペプチド」の素材開発開始
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2017年60~70代の計算作業効率に及ぼす効果を検証した論文を発表
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2018年
このように長い道のりを経て「ラクトノナデカペプチド」の機能は明らかになってきました。しかし、幅広い年代で様々な認知機能への効果を検証するためには、非常に長い時間が必要になります。その裏には、たとえ逆風の中でも粘り強く取り組む研究員の姿がありました。「ラクトノナデカペプチド」の機能を本格的に追求しはじめた2008年から研究に携わる、大澤さんに話を聞いてみました!

アサヒクオリティーアンドイノベーションズ(株)
コアテクノロジー研究所
大澤 一仁さん

インタビュー
「ラクトノナデカペプチド」の研究は2008年ごろから本格的に始まったということですが、大澤さんはどのようなことをやっていたのですか?
大澤:当時は、実験だけでなく素材の生産検討なども担当していました。他にも認知機能に関する社会的な関心の高さや意義を調査しまとめ、社内で素材活用法の提案などもしていました。色々とやるわりに、担当者はいつも2~3名の少人数でしたが・・
少人数体制で苦労も多かったと思いますが、実際にどんなことが大変でしたか?そしてどのような想いで研究を進めてきましたか?
大澤:当時はまだ機能性表示食品もなかったため、よい実験結果が出ても食品の効果として表示することができませんでした。そのため商品につなげることが非常に難しく、研究テーマがなくなりそうになったこともありました。苦しい時は、「なんとかこの素材を商品につなげて、社会で役立てたい」という強い想いで乗り越えてきました。

まさに研究者魂ですね。
大澤:そうして研究を粘り強く進める間に幅広い機能が明らかになったことにくわえ、時代が移り変わり機能性表示食品の制度ができ、認知機能に関するニーズもさらに高まってきたことで、社会的にも受け入れてもらえる環境がととのってきたと思っています。
「ラクトノナデカペプチド」はどんな可能性をもった素材と考えていますか?
大澤:これまで実施した多くの試験を通じて、「ラクトノナデカペプチド」は幅広い認知機能に対して効果があることが分かってきました。認知機能は日々の生活で必ず必要になるものですから、食品で手軽に認知機能を改善させられれば、特にシニア世代にとってより快適で楽しく生活すること(QOL向上)に繋がるのでは、と考えています。また情報処理能力をはじめ、集中力を維持する効果もありますので、働く方々の仕事の効率化を通じて、よりよい働き方につなげることも期待できます。

サイエンス+PLUS
「ラクトノナデカペブチド」が、脳にはたらくメカニズムとは?
私たちが考えたり記憶する時、脳を構成する神経細胞は、互いに電気信号や様々な神経伝達物質をさかんにやりとりしています。しかし、加齢に伴い神経伝達物質をはじめ、脳を活性化させる物質の量は減少し、認知機能の低下につながると考えられています。研究の結果、「ラクトノナデカペプチド」を摂取することで、神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンの量や、神経細胞の発生や成長などを促すBDNF(脳由来神経栄養因子)の遺伝子の発現量が増加することが明らかになりました。「ラクトノナデカペプチド」は、これらの因子を増加させることで脳に働きかけ、認知機能を改善しているのではないか、と考えられています。