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【受賞レポート】
「香りに出逢うグラス」の形状設計手法に関する論文が、平成30年度 日本包装学会論文賞受賞!

2019.07.29

「香りに出逢うグラス」の形状設計手法に関する論文が、平成30年度 日本包装学会論文賞受賞!

 2019年7月12日(金)、「日本包装学会※」の授賞式が東京大学弥生講堂にて行われました。

今回、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社の投稿論文「香りに優れたグラスの形状設計手法の開発」(著者:同社 プロセス開発研究所 佐藤英明)」が、本学会で「論文賞」を受賞しました。


シミュレーション技術を駆使したグラスの設計

 今回受賞した「香りに優れたグラスの形状設計手法の開発」は、ウイスキーの香りを最大限に楽しめるグラス「香りに出逢うグラス」を設計・開発する手法についての論文です。特にComputer Aided Engineering(以下、CAE)という高度なシミュレーション技術を用いて開発している点がユニークで有用、かつ他の分野へも広く応用できると評価され、受賞にいたりました。

一般的な容器の開発では、既存の容器の形状を少しずつ変えた試作品を、強度・耐久性・人の五感による使用感などについて評価し、形状を決定していきます。しかしこの方法は1パターンの検証に時間がかかり、試作できる種類が限られてしまいます。さらに、求める性能を得るための細部にわたる検討は、開発者の経験や勘頼みになることも課題でした。そこで開発時のスピード・質・精度を大きく向上させるためにCAEを導入し、コンピュータ上でのシミュレーションにより、様々な評価を行うことにしました。

CAEに関する詳細情報は ▶こちら


CAEを用いた香りシミュレーションの例
CAEを用いた香りシミュレーションの例

 今回の「香りに出逢うグラス」の開発では、目に見えない香りの動きをどのようにシミュレーションするかが課題でした。そこで、ウイスキーの香りは大部分が揮発したアルコールに含まれることに着目し、特殊なサーモグラフィーカメラによって、揮発したアルコールの挙動を可視化しました。それを元に、CAEを用いてグラス内の香りがどのように拡散するかをシミュレーションしたのです。

このシミュレーションを活用し、様々なグラスの形状における香りの拡散を評価、付属のフタを開けた時に香りを豊かに感じられる「香りに出逢うグラス」を設計しました。実際に試作したグラスは、ニッカウヰスキー株式会社のブレンダーによる官能評価においても非常に香りを強く感じる、という結果が得られています。

 

※日本包装学会とは
包装に関する全ての分野の技術及び科学の発展を図ることを目的に設立された学術団体です。学会が発行する「日本包装学会誌」は、国内の包装分野では唯一の学術誌であり、本誌に1年間で掲載された論文の中から優れたものが選ばれ、「論文賞」が贈られます。

 


<受賞者のコメント>

受賞者近影
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ(株) プロセス開発研究所  佐藤 英明

この度光栄にも「日本包装学会論文賞」を頂くことができました。包装分野では日本で唯一の学術誌である日本包装学会誌の論文賞を授かり、大変名誉に感じております。
研究を進めるにあたって、社内(アサヒビール㈱ パッケージング技術研究所、同社マーケティング部門)だけでなく、社外の資材メーカー様やCAEベンダー様の多大なるご支援・ご協力を頂きました。心より御礼申し上げます。

今後も、良いソリューションをご提供できるように邁進致します。